研究紹介part5:いつか僕らを照らすかも、光通信の未来

皆さんこんにちは!😁

色付く紅葉が美しい季節になってきましたね!

名工大の6号館前の庭にはたくさんの木々がありますが、これらは例年どの紅葉スポットよりも早く色づき始めるんですよね…。

友人とこの理由について話していましたが、どうやら6号館の背が高すぎて日当たりが悪く、寒いせいではないかという結論で落ち着きました笑😂
だとしたらなんだか悲しい木々です。

さて、本日は研究紹介の第5回目でございます!本日研究紹介に協力してくれるのは藤田くんでございます!

石田「というわけで藤田くん、よろしくお願いしますね。」

藤田くん「よろしくー。」

本日のチャプターはこんな感じになっております!


  • 研究の概要と背景
  • 光通信の課題とpolar符号
  • 光通信の実験
  • まとめ

研究の概要と背景

石田「まずはそうですね、いつものやつをやってしまいますかね。藤田くんの研究を一言でいうとずばりなんですか?」

藤田くん「“人工衛星と地上の間を結ぶ、光を使った通信の研究”、ですかね」

石田「なんだかとってもスケールがデカそうですね。岡本研究室は電波の研究室ですが、光通信はまた別のものになるんですか?」

藤田くん「光は電波の一種です。電波にはいろんな周波数がありますが、その一部の周波数帯を人間の目が認識することができるんです。」

石田「なるほど。では、目に見えない可視光領域外の電波でなく、あえて光通信を使う理由というのはなんなんですか??」

藤田くん「大容量だから、ですね。現在は通信の主流は可視光領域以外の電波になってますが、皆さんがスマホを当たり前に持つようになって、またあらゆる電子機器がネットにつながるようになって、通信の道路がいっぱいになってきてしまっているんですよ。光は帯域幅が広いので(詳しいことは省略)大容量通信が可能なんです。」

石田「たしかに。僕のおばあちゃんですらインスタグラムやっている時代ですから。みんながありとあらゆる電子機器を持ってますよね。」

藤田くん「インスタグラムはすごいですね…。とってもハイカラなおばあちゃんなんですね。」

石田「この前は投稿だけでなく、ストーリー機能も使いこなしていましたからね。あ、いや、うちのおばあちゃんのハイカラ具合を説明してもしょうがないですね。では光通信を使う理由というのは通信路の逼迫(ひっぱく)にあるわけですね。」

藤田くん「主な理由はそれですね。あとは最近はAIなども利用シーンが増えてきていますから、一つの端末が必要とする情報自体も増えています。とにかく電波では送れる情報に限りが出てきたので、大容量な光通信が提案されている、という理解で大丈夫です。」

石田「背景はなんとなくわかりました。そうすると、光通信と可視光領域外の電波での通信ってどんな違いがあるんですか?」

藤田くん「設備が全然違ってきますね。下の図は光通信のための送受信機になりますが、とっても大きいことが分かると思います。」


【送受信機の写真】

石田「わお…。イオンモールよりでかいじゃないですか。」

藤田くん「それは嘘ですね。でも大きいのは確かです。だから、おわかりのとおり現段階ではスマホなどに用いる通信には光通信には向いていません。」

石田「となるといったいどんな通信に…?」

藤田くん「企業さんや研究チームが使う大規模な情報になって来るんだと思います。まだ実用化はされてないので具体的な用途といわれると難しいですが…。」

石田「なるほど…。でもちょっと気になったんですけど、企業さんとか研究チームが持っているような情報って企業秘密というか…なんだかとっても重要そうな情報に思えるんですが、それをばらまいてしまって大丈夫なんですか?」

藤田くん「いい質問ですね。まるで打ち合わせでもしたのかってくらいほしい質問でした笑
光通信のもう一つ良いところとして秘匿性が挙げられるんです。周波数の低い電波って放射したら広がっていってしまうので盗聴が容易になるんですよね。でも光は直進性が高いですから、狙った方向以外にはあまり飛んでいきません。つまり、誰かが盗み見るのは困難なわけなんですよ。」


光通信の課題とpolar符号

石田「なんと!素晴らしきかな、光通信ですね!!…でも、それだとあまりに都合がよすぎるような…。先ほどの話でスマホなどの移動通信には向かない、ということでしたが他には欠点はないんですか?」

藤田くん「石田君は星や夜景は好きですか?」

石田「え?何ですかいきなり…。ロマンチックな星&夜景デートのお誘いですか?」

藤田くん「それはちょっと気持ち悪いんでお断りしますが、星や夜景を見ているときにチラチラ瞬くのを見たことがありません?」

石田「あ~!ありますあります!きれいですよね!まるで星や夜景が生きているかのような…」

藤田くん「そいつです。犯人は。」

石田「え?」

藤田くん「あの現象はシンチレーションといって、電波でいうところの雑音なんです。あれの影響って結構大きくて、そのせいで光通信には誤りがつきものなんですよね。」

石田「なるほど、そうやって着地するんですね笑
そうすると、大容量なのは素晴らしいですけど、大量に誤ったデータを送られても困りますね。」

藤田くん「そうなんです。そこで私の出番です。通信には誤り訂正符号というのが必須なんですが、その中の一つであるpolar符号というものを用いることで、光通信を強化したんです。」

石田「符号ですか!僕も基礎ゼミで作りましたよ。雑音が混じった通信路でもちゃんと誤りなく遅れるようにするあれですよね!」

藤田くん「そうです!なじみのない人のために簡単な説明をしますね。通信では01で情報を送りますけど、例えば0を送りたいときに雑音が介入して受信側では1になってしまう、ということがよくあります。でも0を送るときは000って送り、多数決で決定するようあらかじめルールを決めておいたらどうでしょう?010や100などと一部が誤って届いてしまったとしても、受信側は多数決で000を送った、すなわち0を送ろうとしたんだな、と分かりますよね。」

石田「そうでした!実際にはpolar符号はこれよりもずっと複雑な原理で動くとは思うんですが、なぜpolar符号を使おうと思ったんですか?」

藤田くん「理由はいくつかありますが、計算量が小さくてすでに5Gで導入されていることですね。」

石田「計算量が小さいということは、そこまで複雑な計算をしなくても性能がいいってことですね。5Gといえば、ほかにもLDPC符号も有名な気がしますが…。」

藤田くん「確かにそうなんですが、実際に実験してみたときにpolar符号がLDPC符号に勝ったんです。」

石田「マジですか!実験までやってたんですね…!」


光通信の実験

藤田くん「僕たちの研究はNICT(情報通信研究機構)さんという研究機関と一緒にやらせてもらってるんですが、その縁で光通信の装置をお借りして実験をしたんです。」

石田「すごいですね~!専用の施設かなんかがある感じですか?」

藤田くん「そうですね。東京都の小金井のNICTと電気通信大学に光通信の送受信機が設置してあるんです。ちょうど下の図のような感じですね。実験では7.8km離れたこの2地点間を光通信でやり取りして性能評価したんです。」


【実験を行った施設(光通信の送受信機)】

石田「スケール本当に大きいですね…!そういえば実験の際には藤田君は東京まで泊まり込みに行っていましたね…。大変でしょうが、そういった体験をしてみたい人はぜひ後継者になっていただきたいですね。」

藤田くん「そうですね~。」


まとめ

石田「さて、ここまで藤田君に解説してもらいながら光通信についてみてまいりました。光通信はまだ実用化には遠いようですが、藤田くんとしてはこれからどのようになっていってほしいですか?」

藤田くん「やはり、実用化に近づいて行ってほしいですね。現在は人工衛星間の通信には一部で光通信が用いられているようですが、石田君が言ってくれたとおり地上-衛星間はまだです。これから技術が発展して皆さんが間接的にでも使ってくれる技術になればいいなと思います。」

石田「ほんとですね!藤田くん今日はありがとうございました!!」

藤田くん「ありがとうございました。」

 

というわけでいかがだったでしょうか?岡本研究室では可視光以外の電波を使ったシステムに関する研究が主流ですが、こういった面白い研究も行っているし、大規模な実験も行っていることがお分かりただけたかと思います。

少しでも皆さんが興味を持ってくださったら幸いです!

それでは今日はこの辺で!😉

研究紹介part5:いつか僕らを照らすかも、光通信の未来」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 岡本英二研究室

コメントは停止中です。