研究紹介part3:秘密の言語、カオス通信

皆さんこんにちは!😊

暑い日が続いておりますが、体調には十分にお気を付けくださいね!

最近はたまらずアイスを食べてしまう筆者の石田です!🍦

私個人はチョコミントが大好きなんですが、なんであんなにチョコミントは虐げられるのでしょうか。「歯磨き粉」「色が気持ち悪い」「ミントを入れる意味が分からない」など、本当に言われ放題なのですが、なかでも「歯磨き粉」というのだけは納得がいきません。

チョコミントが歯磨き粉なのではなく、歯磨き粉がミントなのです。そこまで言うならばぜひチョコミントで歯磨きをしていただきたいものです。きっとおいしすぎて歯を磨きすぎて虫歯になってしまうことと思います。🙄

 

さて、恨み言はこのあたりにしておいて、本日は研究紹介第3弾です!今日のテーマはうちの研究室では通称「カオス」と呼ばれています。いったいどんな混沌とした研究なのだろうか…とご心配の読者の方もいらっしゃるかもしれませんが、とてもロマンがあって素敵な研究です!今日はうちの研究室において最も長くカオスの研究を行っている加賀くんにお話しを聞きながら解説を進めていきます!

 

石田「それでは早速加賀くん、よろしくお願いします。」

加賀くん「よろしくお願いします。」

石田「前から気になっていたことがあるんですが、石川県に山代温泉とかで有名な加賀市ってあるじゃないですか。しょうもないギャグで恐縮ですが、加賀くんは加賀市に行ったことはありますか?」

加賀くん「加賀市はないけど、同じ石川県内の和倉温泉にある加賀屋の系列店になら家族で行ったことはありますよ。」

石田「お!すごい!笑 でも加賀屋って確かすごくお高いところじゃなかったですか?」

加賀くん「そうですね。確かに加賀屋本家はすごく高いんですが、系列店の方は少しリーズナブルに楽しめるんです。ご飯がビュッフェスタイルだったんですけど、すごくてんぷらがすごくおいしかったですよ。」

石田「いいですね~!和倉温泉は僕も1回行ってみたいところなんで、ぜひ行くときは検討してみます!ちなみに“加賀”という言葉に関して話は出たんですか?」

加賀くん「出ませんでしたよ笑 家族みんな加賀だし気にならないです笑」

石田「それもそうですね笑 それでは早速インタビューにて研究の背景から伺っていきましょう!」

  • 研究の概要と背景
  • 既存技術とカオス通信
  • まとめ

研究の概要と背景

石田「さて、まずは前回の上野君と同様に、一言で加賀君の研究を表すと何になりますか?」

加賀くん「無線通信の安全性確保…とかですかね。」

石田「お!セキュリティ系ですね!近年とっても需要がありそうです!5Gはもはやだれもが知っている言葉となってますけど、そういうのに関連してセキュリティというのも重要になってきているんですか?」

加賀くん「そうですね。5Gのシナリオの一つのmMTCにもある通りたくさんの端末(電子機器)がインターネットに接続するようになってきます。端末が増えるということは使用者が増える。つまり盗聴やデータの悪用が行われる機会も増えるわけですね。」

石田「なるほど…。それは非常に恐ろしい…。僕が3時間かけて書いた秘密の恋文も盗聴されるリスクがあるわけですね…。」

加賀くん「それは誰も盗聴したがらないんで大丈夫ですよ笑」

石田「あらら、そういうものですか…。じゃあセキュリティが重要になってくると思うんですが、そういうのは情報系の人たちがやってくれているものではないんですか?」

加賀くん「ええ、もちろん。情報を電波に乗せて送るまでは何段階かのフェーズに分けることができるんですが、それでいうと上流の層がその情報系の人たちが行う端末側でのセキュリティですね。」


【図:通信の階層とその前後の全体像】
※画像が見にくい場合はクリック(タップ)して拡大してください

 

石田「なるほど。いわゆるアプリケーション層とか聞くやつですね…。」

加賀くん「そうです。ただ、こういうセキュリティは確かに有力なんですが、コンピュータの性能が高ければ暗号を解かれてしまうことがあるんです。最近はコンピュータの性能がぐんぐん上がってますから、リスクも高くなっているわけですね。」

石田「そういうことですか。5Gが本格化すれば端末数も増加するわけですから悪い人たちの手に高性能端末が渡る可能性もありますね…。そこで加賀君の研究が力を発揮してくるわけですね。」


既存技術とカオス通信

石田「これまでのセキュリティシステムというのは先ほど話に上がった端末側でのセキュリティのことになるんですか?」

加賀くん「それももちろんありますし、通信側でもスクランブリングという技術で暗号化は行っていました。でもスクランブリングも01のデジタル信号を暗号化しているだけなので、これからの技術次第では解かれてしまう可能性があります。」

石田「なるほど、それではいよいよ核心に近づいてきましたがカオス通信というのはどういうものになるんでしょうか。」

加賀くん「そうですね、カオス通信は電波自体に暗号をかける手法で簡単に解かれないことが特徴ですかね。」

石田「電波自体に暗号ですか…。情報のみでなく、それを電波で送る段階で暗号化をしてしまうわけですか?」

加賀くん「そうですね。原理は結構複雑なので省略しますけど、イメージでいうならばユーザーごとにオリジナルの言語で情報を送るといったところでしょうか。例えば石田くんには日本語で情報を伝えて、岡本先生には英語で情報を伝える。すると、ほかのだれかが英語や日本語を知らなかったら二人に伝えた情報を得るどころか雑音にしか聞こえなくなりますよね。つまり、暗号文すら手に入らなくなる状態ってことです。」

石田「そういうわけですか。逆に伝えたい情報はちゃんと届くんですか?」

加賀くん「それはもちろん。石田君とはあらかじめ“日本語”という言語を共有する、というかまあ翻訳機のようなものを渡しておけば2人だけで情報をやり取りできるようになるってことですね。」

石田「おお~。それは素晴らしい。先ほどの話でいえば、もし普通の通信だったらみんな日本語でしゃべっていて、その内容を隠語とかで隠しているようなイメージになるわけですかね!」


【図:既存研究】
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【図:カオス】
※画像が見にくい場合はクリック(タップ)して拡大してください

加賀くん「そんな感じのイメージでOKだと思います。だから、カオス通信は従来の暗号化とも組み合わせができるわけです。言葉でいうならば隠語でしゃべって、かつしゃべる言語を秘密の言語にしておけばさらに秘匿性は上がりますよね。これがカオス通信のいいところなんです。」

石田「なるほど…。ほかのセキュリティともかけ合わせられるなんて最強ですね笑 じゃあ僕の恋文もカオスで暗号化すれば…」

加賀くん「それはきっと相手にただの雑音として処理されますね」

石田「そんな…。」


まとめ

というわけで本日は加賀くんにカオス通信の魅力を聞いてまいりました。実はカオス通信の研究を本格的にやっている研究室は全国でも少ないんです。なので、オリジナルな研究がしたい、という人や自由度が高くて自分の思い通りにいろいろやってみたい!という人にはぴったりの研究かもしれませんね。

後輩の方は是非ご検討を!

また、本日が夏休み前最後の投稿になります。これから10月の1日まで名工大はおやすみになりますので、当ブログもそれまでお休みとさせていただきます~

休み明けも何卒よろしくお願いします!😁

それでは今日はこの辺で!😉

【2020/8/12】休載

こんにちは!HP担当の石田です!😁

今週はお盆休みになりますので、ブログも休載させていただきます!

来週1回の投稿をもって、夏休み前の投稿は終わりの予定でございます!

10月からの投稿もまたご覧いただけると幸いです。それでは皆様体調管理には十分に気を付けて楽しいお盆をお過ごしください~😉

【2020/08/05】「しもしも~」はこうして伝わる!

皆さんこんにちは!HP担当の石田です!😊

梅雨明けと同時にセミさんのテンションも爆上げですね!笑

ところでセミさんがなぜ鳴くのかが気になって調べてみたんですが、オスがメスに自分の場所を伝えるために鳴いているそうです!

コロナにも負けず積極的に女子を口説きに行く肉食系男子のセミさんたち…

とっても輝いて見えてきますね!笑😄✨

さて、今日のテーマは通信の基礎です!これまでいろいろと通信のお話をしてきましたが、そもそもどうやって電波でデータをやり取りしているか気になっていた方もいたのではないのでしょうか??

もちろんネットで検索すればたくさんわかりやすい解説は載っているのですが、せっかくなのでこのブログでは研究室のテーマである「通信方式」にフォーカスして通信の基礎を解説していきたいと思います!

  • データ伝送の準備
  • データの送受信
  • データを効率よく伝送するために…

データ伝送の準備

 さて、さっそく解説を行っていきますが淡々と説明しても面白みに欠けてしまうので、今回はとある方の力をお借りしたいと思います!携帯電話ギャグの草分け的存在である平●ノラさんです!「しもしも~」というギャグはまさしく通信に関する研究を行っている私たちとしては崇高な存在なのです。著作権的な問題もあって自作でイラストを作成したのですが、あまりの下手さに今度は名誉棄損になりそうです…。平●さんすみません、大目に見てください。


【平●ノラさん】

今回は東京にいる平●ノラさんの肩掛け携帯電話(ショルダーフォン)から発信された「しもしも~」というメールが名古屋にいる私の携帯電話まで届く様子を通じて、通信の仕組みをざっくりと理解していただけたらと思います。

まず、「しもしも~」という文字列をそのまま電波で送ることはとても難しいです。ですから、電波で送りやすいように0と1の信号に変換してあげます。これをデジタル変換といいます!

ここでは、以下のように変換をするルールにしてみましょう!もちろんこのルールを送信側の平●さんと受信側の私であらかじめ共有しています!

「し」→ 01
「も」→ 10
「~」→ 00

このルールに従うと、「しもしも~」という文字列は「0110011000」という数字の列に変換できます!こうなればかなり簡単にデータを送れそうになってきましたね!

さて、お次はどうやって電波でこの01信号を送るかです!これもやはり送信側と受信側であらかじめルールを決めておくことが重要です!

次の図をご覧ください!


【01の情報をどうやって電波に乗せるか】

電波は横波なので、図のようにW字型の波形を0、M字型の波形を1と定めれば波のスタート地点の値を見ることで0と1のどっちを送ろうとしたかを確認できるようになるわけです!さっきの「しもしも~」の文字列は「0110011000」で表せましたから、波の波形は図のようになっているわけですね!

波をつなげてしまったらどこがスタート地点かわからないじゃないか!と思われたかもしれませんが、大丈夫です。電波にも周波数というのがあり、それを一定に保てばナミナミの周期も一定になります。ですから、あらかじめその周期を知っておけばあとはそのタイミングをスタート地点として観測を繰り返せば問題ないわけですね!


データの送受信

 それではいよいよ作った電波を送信していきます。下の図をご覧ください。


【携帯電話と基地局、地中ケーブルの図】

平●ノラさんの携帯電話から発信された「しもしも~」は01信号を表す電波となってまずは近くの基地局に到着します。基地局というのは皆さんがビルや道の脇で見かけることができる電柱のようにそびえたつアンテナです!そして、実はその地下にはデータをやり取りすることができるケーブルが張り巡らされていて、日本中どころか世界中の様々な国までつながっています!このケーブルは光ファイバーと呼ばれていて、基地局で受け取った電波から再度取得した01の信号を、今度は光の点滅に置き換えてデータを送受信しているんですね!

そして、この光ファイバーケーブルを通ってついに私石田がいる名古屋の基地局まで「しもしも~」がやってきました!今度は逆に、基地局から01信号を再度電波に変換して送信し、石田の携帯電話がその信号を受け取ります。そして、携帯電話が01信号を文字列に変換した結果…

「しもしも~」

と表示されるわけですねぇ~。いやぁ、感慨深い。

ついに最初の目標は達成されたわけなんですが、次節でもう少し発展的な内容も説明してみようと思います!


データを効率よく伝送するために…

先ほど、W字型とM字型の電波を0と1に変換する方法をご紹介しました。この方式はBPSKと呼ばれていているのですが、実は一つの波形で1つのビット(0と1のデータのこと)しか送れないので効率が悪いんです。現在のYouTubeやテレビ会議の用途を想定すると、全然効率が足りていないんですね~

では一体どうするか…。それは波形のあてはめ方を工夫するんです。次の図をご覧ください。


【QPSK】

先ほどはM字型とW字型の2通りしかありませんでしたが、4種類の波形を準備しました!ということは4通りの情報を当てはめることができるわけですから、0と1で考えると「00」「01」「10」「11」の4つが考えられますね!

ということは先ほどのBPSKでは1波形につき1つのビットしか送れなかったものが、この方式では1波形につき2ビットを送ることができるので伝送効率が2倍ということになります!ちなみに、この方式をQPSKと呼びます。

同じように波形を16種類、64種類、と2倍ずつ増やしていけば伝送効率がぐんぐん上がります!

じゃあ、めちゃくちゃたくさん波形の種類を増やせばいいじゃないか!と思われましたか?何となくお察しの方もいるかも思いますが、そんなにうまくはいきません…。

電波が伝わる際、空気中を通るので必ず雑音がのってしまいます。音と同じだと思ってくだされば大丈夫です。そうすると、受信側に届いた電波の波形というのは何かしら乱れたものになってしまうんです。ちょうど下の図のような状態ですね!この図はBPSKとQPSKに雑音が乗った様子を示しています!


【雑音が乗った受信波形】

すると、QPSKではもともとの波形が似通っているせいで雑音が少し乗っただけでも間違えやすくなってしまうんです。つまり、効率の良さとデータの正確さはトレードオフ(どっちかをとればどっちかを失う)の関係にあるわけですね~。これが難しいところ…。ちなみに、現行の技術は雑音の度合いによっていくつの波形を用意するかを変えているそうです!

他にも効率化の方法はいろいろあるのですが、今回は基礎なのでここまでで…。


まとめ 

というわけで今回は通信の基礎知識を平●ノラさんの力を借りて説明してきました!なかなかこんなタイプの説明はないかと思いますが、ブログの規模だからこそできる説明を目指した結果こうなりました笑

伝わっていることを願うばかりです!

電波というのは目に見えないのでとっつきにくいイメージをお持ちの方も多いのでは、と思います。しかし、だからこそその仕組みに魅力があるのも事実なんですね~!

気になった学生の皆様はぜひ岡本研へ~!でも平●さんには会えませんのであしからず。。。笑

それでは今日はこの辺で!😉